作品40句
2016年01月02日 17:54
相撲の街 原 綾女
淑気満つ簪飾る柳橋
国技館の屋根にかかりし春の雲
船人となりて隅田の花惜しむ
国技館の屋根洗ひゆく春時雨
初場所や鎧のやうな湿布して
ビール干す相撲仕立の居酒屋に
鬢付けの匂ふ力士や梅雨の橋
橋長し漢もすなり黒日傘
夏料理並べて下る屋形船
梅雨晴間川のテラスの遊歩道
梅雨しとど両国橋の土俵模様
相撲甚句流る駅舎の薄暑かな
すれ違ひ鬢付匂ふ薄暑かな
自転車の力士浴衣の前はだけ
大判屋大きすててこ広げ売る
相撲文字書かる駅名夕薄暑
ベランダにまわしを干すや相撲部屋
相撲客混み合ふ駅舎扇子舞ふ
青葉風千秋楽のパレードに
式守家の塀に青蔦這ひ茂る
両国橋土俵を模した露台かな
力士像蹲踞の尻に夏日濃し
流れ来る相撲甚句や冷奴
行き逢ひし優勝パレード月も賞づ
欄干に酔ひを預けて良夜かな
欄干に相撲決め手や秋の風
秋場所の力士と並び針治療
欄干の軍配模様葉月潮
千秋楽相撲櫓に鰯雲
欄干に凭れて覗く小春凪
小春凪船につきくる鳥の影
冬落暉隅田の凪を輝かす
大川の流れ閑かや都鳥
境内の土俵彩る冬紅葉
総武線徐行で見せる揚花火
舟二艘跨ぐ足場や松手入
水路より上る庭園菊日和
隅田川流れ閑かに鳥帰る
頬火照るまで麻向ひぬ冬夕焼
残る世を洒脱に生きむ返り花